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2014インターハイ 「これから」③~清水大和(智頭農林高校)

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2012年の福井インターハイ。その時点では、19位だったが「この先、伸びそうだな」という予感のするチームがあった。智頭農林高校だ。このときは、得点16.100が示すように、ミスもしていたと思うし、粗さのある演技だったように思う。だが、個々の選手の動きがとても基本を大切にしながら、大きさが感じられたこと。さらに、フロアを広く使って、休みなく動きまわる団体作品のアグレッシブさに、「未完の大器」の片鱗を見た気がしたのだ。同チームは、2013年3月に佐賀で行われた高校選抜大会にも出場していた。このときは、得点15.875。得点から察するにミスの多い演技だったのだろう。それでも、このときも、やはりこのチームには、いい意味での「通過点」という空気があった。 2013年の佐賀インターハイには、智頭農林高校の姿はなかった。そして、久しぶりに今年、団体ではなく個人選手ではあるが、智頭農林高校の名前を見た。●清水大和(智頭農林高校)彼は、福井インターハイ、佐賀選抜のときの団体にも入っていた選手だ。「部員が減ってしまって、団体は組めなくなったので」と言っていたが、その分、個人演技の練習はできたのかもしれない。今大会での彼が見せた演技は、かなり印象に残るものだった。まず、1種目目スティックの第1タンブリングで見せた伸身でのひねりの鋭かったこと。そして、どのタンブリングも高さがあり、力強く、それでいて柔らかい動きも見せてくれた。落下1は惜しかったが、8.550。早い試技順のわりには高い得点だった。2種目目のクラブは、ノーミス演技。こちらもタンブリングの強さはしっかり見せつつ、音をつかみとるセンスの良さを感じさせた。音に合わせて、動きを引っ張るようなところが、とてもよかった。こちらは、8.800という高得点が出た。彼の演技を見て、嬉しくなった。2年前の福井で、「伸びそうなチームだ」と感じたのは間違いではなかったのだな、と。団体チームとしての完成形を見ることはできなかったが、残った選手はこんなにしっかり成長していた。福井インターハイで、佐賀の選抜で、ほのかに見えていた未来予想図は、こんな形だったのだ。いや、もちろん、今大会での彼の演技ですら完成形ではない、と思う。彼はきっと、「もっとやれる」! 彼だけではない。今回は、補充選手の欄に名前のあった渡辺麟も、清水と同じ3年生で、福井インハイ、佐賀選抜では団体の一員だった。おそらく彼も、清水と同じような成長をしていたに違いない。キャプテン以外は全員1年生というフレッシュな団体で出場した福井インターハイ。そこからの2年間は、おそらく思ったようにはいかないことが多かったのだろうと思う。2年前の彼らは、その後、団体も組めなくなるような事態になるとは想像していなかったのではないか。それでも、「こんなはずじゃなかった」という思いを飲み込んで、新体操を続けてきた。そして、こんなに成長した。それが今大会の彼ではなかったか。高校の3年間は短いようで長い。入学前に想像したとおりにはいかないことも少なくない。それでも、腐らずに今いる場所でできること、を全うしてきた選手の演技だから、技術以上に伝わるものがあったのかもしれない。大学で、または社会人で、新体操を続けている彼の姿を見ることができたらとても嬉しいと思う。それと同時に、来年1月の長野カップに、ぜひ渡辺、清水の2人そろって出てきてくれたらいいのだが。「智頭」の名前で一緒に出場できる最後の大会だ。いつも出場しているキッズの選手と一緒にぜひ!と思う。<撮影:清水綾子>

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