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Channel: 体操
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2014インターハイに向けて~猪又涼子(伊那西高校)

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この選手の演技には、ジュニア時代からなにか訴えるものがあり、好きだった。しかし、ジュニアのころは、肝心なところでぽろっとミスをしてしまう危うさもある選手だったが、高校生になってからというもの、非常に安定した演技をするようになり、それに伴って成績ものぼり調子だった。 2013年、高校生になって最初の全国大会「ユースチャンピオンシップ」では、5位。初出場のインターハイでは、早すぎた試技順で得点こそは伸びきれず8位だったが、すばらしい演技だった。全日本クラブ選手権では、シニアの部4位。そして、11月の全日本選手権で11位となり、世界選手権代表候補にも残った。3回にわたるコントロールシリーズでも、着々と力をつけている印象だった。高校1年生としての最後の全国大会・高校選抜でも4位。まさに「高値安定」の1年間だったと言えるだろう。ところが。ちょうど高校2年生になったあたりから、少し異変が見えてきた。4月になってから行われたコントロールシリーズ第3戦では、ややミスが目立ち、世界選手権代表の最終候補に惜しくも残れなかった。そして、ユースチャンピオンシップでも、7位と前年実績を下回る成績に終わってしまった。順位は、他の選手との兼ね合いもあるので、あまり気にすることもないとは思うが、昨年1年間がよかっただけに、このところのやや元気のない演技が気になってしまった。思うに、いかにも真面目そうなこの選手の「生真面目さ」が、このところは少しマイナスに働いてしまったのではないだろうか。とにかく無我夢中で「1年生」として走り続けられた去年とは、おそらく置かれている立場、期待される役割、すべてが違ってきているだろう。そして、そういった期待に「応えよう」とする性格のように、猪又涼子は見える。そんなさまざまな要因が、このところ少しばかり演技に影響してしまっていたのではないだろうか。しかし、そんな時期があるのは悪いことではないと思う。むしろ高校生らしいとも思う。よい意味で、「新体操だけ」ではないんだろう。新体操に懸けているのは間違いないが、「新体操の成績さえよければいい」とは思っていない。だからこそ、迷ったり、悩んだりもするんじゃないか。この春先から、少しばかり苦しそうに見えたが、それでもいざ曲にのって踊っているときの弾ける笑顔には翳りはなかった。とくに、クラブでのはつらつとしたチャーミングな笑顔。リボンで見せる周囲までがぱあっと明るくなるような笑顔。ミスしようが、順位が下がろうが、あの笑顔を見ると、「この選手はきっと新体操が大好きなんだな」と思える。だから。少々、調子を落としている時期があっても、あまり心配はしていない。悔しい思いをすればするほど、きっと次にはもっと力を発揮する。華奢な見た目とはうらはらな、そんな強さを、彼女はもっている。インターハイでは、きっと、その強さを見せてくれるに違いない。<撮影:末永裕樹/赤坂直人>

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