バレエの力~ゆあRG発表会この1か月くらいの間にたくさんの発表会を見てきた。よく、「うちの発表会はお見せするようなレベルではないから」などと言われることがあるが、発表会は、レベルうんぬんではなく、見どころは必ずある、と私は思っている。それほど練習回数の多くないクラブであれば、たしかに完成度は低いかもしれないが、それでも子ども達がとびきりの笑顔で踊っているとか、衣装がとにかく凝りまくっていて、保護者なり指導者の愛情が感じられるとか。見れば必ず、なにか得るものがあるのが発表会だが、この「ゆあRG」の発表会で衝撃的だったのは、そのバレエ作品のレベルの高さだった。じつはこの日、撮影許可をいただいていなかったので、前半は写真を撮らずに見ていた。まず、オープニングの集団演技のとき、選手たちの姿勢がやけにいいな、と感じた。そして、腕や指先の動きが美しく、表現力を感じる動きをする選手が多いことに驚いた。失礼な言い方だが、そこまで「強豪クラブ」ではないと思っていた。とびぬけて強い選手がいるとも聞いていなかった。それでも、ここのクラブの集団演技には、華があった。嬉しい驚きに包まれながら、発表会前半を見続けたが、前半の最後に演じられたバレエ「パキータ」。これが圧巻だった。新体操の発表会で、バレエ作品が演じられること自体はそれほど珍しくない。かなり達者に踊るクラブも少なくない。が、このクラブの子ども達が演じた「パキータ」は、私が新体操の発表会で見た中で、最高峰に近いバレエだと思った。半分くらいの子たちがポワントで踊っていたが、それはまあきれいに立っていた。バレエ教室の発表会でときどき見かける曲芸のような立ち方の子はひとりもいなかった。いや、すばらしかったのは、その技術だけではない。「新体操の子たちのバレエ」にありがちな、照れや仕方なくやってる感じがまったくないのだ。バレエが大好き! 彼女たちの「パキータ」からは、そんな気持ちが伝わってきた。これは、新体操の発表会で見るバレエとしては、かなり珍しいことだ。この「パキータ」があまりに素晴らしかったので、休憩時間に主催者にお願いして、後半は写真を撮らせてもらった。後半でもバレエ作品があったが、バリバリのクラッシックだった「パキータ」とはがらりと変わった、コンテンポラリー風の作品「虹伝説より Plamed bird」だった。それが、この写真だ。新体操をやっている子ども達ならではの身体能力をいかしたステキな作品だった。ここのクラブでバレエを教えているのは、バレエ歴28年という。神谷麗香先生。この発表会でも指導者演技に出ていらしたが、かなり本格的なバレエだった。それでも、この先生は、きっと「新体操をやっている子ども達」のことが好きなんだろうな、と彼女たちのバレエ作品を見て思った。だから、きっと子ども達もバレエのレッスンが好きで、楽しいんだろうと。新体操の基礎として、バレエは必要。今や、そこに疑う余地はない。ただ、「新体操に必要だから」という気持ちでやっているバレエは、得てして楽しくない。楽しくないと思いながらやっている子にバレエを教えるのも、あまり楽しくはないだろう。でも、ここのクラブのバレエは、本当に楽しそうだった。子ども達があれだけ楽しくやれるというのは、教える側も頼んで教えているから、だろうと感じた。そして、楽しくバレエに取り組んでいることが、このクラブの選手たちのもつ「動きの華」につながっているように思えた。新体操の発表会で、こんなものが見られるなんて!そんな感動と驚きのあるゆあRGのバレエ作品だった。
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