カナダのモントリオールで行なわれている体操の世界選手権で、初めて個人総合決勝に進出した日本の白井健三が見事に銅メダルを獲得した。 日本時間の3日に行われた男子の予選で絶対王者といわれた内村航平が、2種目目の跳馬で負傷し棄権する波乱の幕開けとなった事から個人総合決勝に残ったのは白井のみという状況だった。 白井といえば床と跳馬のスペシャリスト的なイメージが強いのだが内村の主張する‘オールラウンダーになってこそ王者’というアドバイスを受けて、国内でも個人総合で内村に迫れる地力を付け初めて世界選手権の個人総合に臨む事になったのだが内村抜きで世界相手に戦う事になった。 内村抜きの優勝争いはリオの銀メダリストのオレグ・ペルニャエフが筆頭でキューバのマンリケ・ラルデュエトにロシアのダビト・ベルヤフスキーあたりが中心で、中国勢も個人総合を強化して来るだろうから白井が得意の床と跳馬でどこまで得点を伸ばせるかがカギとなるだろう。 1種目目の床を15,733でスタートしトップに立つと2種目目の苦手としているあん馬と吊り輪では無難にまとめて13,433と13,666で順位を2位から6位に落とすが、4種目目の跳馬ではシライ/キム・ヒフンを決めて15,000を出し3位に浮上する。 5種目目の平行棒で14,633を出し迎えた最後の鉄棒では予選で落下した屈伸コバチを決め最後の着地で動いて13,966で2位となり、直後に演技した肖若騰が14,400でトップに立ったため3位に後退するが5種目を終えてトップだったベルヤフスキーが落下したため
13,200に終わり最後のラルデュエトも14,333止まりで白井の銅メダルが確定した。 初めて世界選手権での個人総合で銅メダルを獲得するのは凄い事ではあるが、トータル的に見ると得意の床と跳馬で15点台を出しているのに対し13点台があん馬・吊り輪に鉄棒と3つある。 8位以内に入った選手の中で15点台を出したのは白井以外はベルヤフスキーの平行棒のみなのだが、金&銀を獲得した中国勢は
13点台が1種目づつでベルヤフスキーも鉄棒の落下がなければ
14点台後半だったろうから13点台3つで銅メダルというのは幸運だったのかもしれない。 またリオでは内村航平と死闘を演じたオレグ・ペルニャエフはトータルで92点台を出しているのを考えると5点以上の差があるのも事実だが、どんな形でもメダルを取ったというのは大きいし下手に金を取るよりもこれからの課題も浮き彫りになる銅の方が将来的な事を考えてもいいと思う。 そういう意味では上々の個人総合デビューだったのではないだろうか。
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