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2013インターハイに向かって⑩ 佐賀県立神埼清明高校団体

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2013インターハイに向かって⑩ 佐賀県立神埼清明高校団体この連休中に、「いいもの」を見ることができた。佐賀の神埼清明高校が、国士舘大学に練習に来ていたのだ。その情報を仕入れて、早速、見に行ってきた。そこで見た神埼清明というチームは、もちろん、強くてうまかったのだが、それだけではなく、なにか「清々しさ」や「潔さ」を感じさせるチームだった。「神埼って前からこういうチームだったっけ?」私は、考えた。いや、なにか、違うような気がする。ほんの数年前までの神埼は、「強いこと」は間違いないが、つっこみどころもあるチームだったような気がするのだ。とくに、すさまじいまでの組みのインパクトで度肝を抜いていたころの神埼に対しては、賞賛の一方で、疑問を唱えるむきもあったように思う。いわく「組みで神埼に対抗できるのは、小林秀峰くらいだが、新体操は組みだけではないはず。むしろ、動きの質や美しさこそ、評価されるべきではないか。」と。たしかにそれも一理ある。当時の神埼がそうだったとは言わないが、「組みさえすごければ勝てる」のでは、新体操としてはどうだろう? と思わざるを得ない。それでも、「組みの強さ」で、結果を出してきた神埼のようなチームが、がらりとチームカラーを変えることは難しいだろうし、そうしたいとも思わないだろう。同じ競技でも、時代によって何が評価されるかは変わるものであり、それに対応することも勝つためには必要だが、「迎合」はしたくない。神埼は、というか中山智浩監督は、いや、もしかしたら九州人は、かもしれないが、そう考えるのではないか。しかし、そういう意地を通せば、「時代遅れ」になってしまう危険性もある。ましてや、勝つことは難しくなる可能性はおおいにある。インターハイ団体の優勝は、昨年が青森山田、一昨年が井原。美しさや表現力に定評のあるチームが続いている。それぞれのチームの良さは、誰もが認めるし、中山監督も認めている。とくに井原に対しては、「誰もが認める体操」と、言いきった。それでも、神埼は神埼のやり方で、彼らよりも上にいくことができるはずだと、中山監督は考え、信じている。ここ数年のインターハイや高校選抜での神埼の演技は、いつも素晴らしかった。優勝こそできていないが、常に、「勝ってもおかしくない」演技を見せていた。正直、勝ち目は薄い試合であっても、それでも、コンスタントにそこまで仕上げてくる。それは、絶対に勝負を捨てることのない指導者がいて、ついていく選手達がいてこそ、できることだったんだと今回の練習ぶりを見ていて感じた。いや、もしかしたら「優勝」には届かない時期があったからこそ、今のこの「懸命でひたむき」な練習ぶりはあるのかもしれない。だとしたら、この数年の惜敗は、確実にこのチームを進化させている。今の神埼の新体操には、「男子新体操」が本来もっていた良さが、凝縮されているような気がする。力強くて。男らしくて。スリリングで。エキサイティングで。そして、美しい。研ぎ澄まされた日本刀の輝きのような美しさが、彼らの動きのひとつひとつにはある。そして、彼らの疾走感あふれる演技で、そこにはたしかに風が起きていた。その風は、ときに強く、ときに渦巻くように。ときには、ふっと止まる瞬間もあり、また吹き抜けていく。彼らの起こす風は、果たして神埼清明高校に3年ぶりの優勝をもたらし、中山監督の最高の笑顔を見せてくれるだろうか。その可能性は十分にある。                                        <撮影:清水綾子>

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