世界体操2015の男子・個人総合決勝が行われました。注目は6連覇がかかった内村に集まりました。ハイライトは第4種目の跳馬、平行棒、鉄棒と、随所でしびれる場面がありました。 内村航平床:15,733
あん馬:15,100
吊り輪:14,933
跳馬:15,633
平行棒:15,833
鉄棒:15,100
総合順位
1位:内村航平(92,322)
2位:ラルデュエト(90,698・キューバ)
3位:デン・シュウリ(90,099・中国)
10位:萱和麿(88,198) ……という結果になりました。内村は前半の3種目、最初に得意の床で高得点を出し、良いスタートを切ります。続く、あん馬、吊り輪は、やや弱い種目ですが、難度は抑えて美しさや、ミスをなくして、まとめあげました。そして、後半の勝負となる跳馬では、完成までに8年をかけたという大技・リー・シャオペンを、見事にこなしました。跳馬は数秒で終わる種目ですが、その瞬間の演技に醍醐味があります。今大会のハイライトの一つになりました。この第4ローテーションが終わった時点で、2位のウィットロック、3位のラルデュエトと1点の差がない僅差で、猛追を受ける厳しい戦いでした。そして、勝負となる平行棒では、上記のように高得点を出しました。このミスが許されない場面で、自分の技をしっかり出せる、このメンタルの強さは、すごいです。色々なスポーツを観戦していますが、ここぞという時に動じない強さは、本当に称賛されるべき選手だと感じました。そして、最終種目となる鉄棒……団体戦の決勝では落下があったプレッシャーがかかる種目でもあります。その団体戦で落下した技、カッシーナは抜くものの、その他は危なげなく、まとめあげます。着地も微動だにせずに決め切り、大会6連覇を達成させました! 勝利の要因は、何と言っても、すべての演技でノーミスというのが、大きかったです。他のライバルたちが大きなミスが出て、優勝争いから脱落する中、内村はとにかく、集中力を保ちました。そして、勝負所で力を発揮できる……本当に強いと思います。内村は試合後に、「気持ちを切らさないように、強い気持ちを持った」と語っています。少しでも気を抜くと、集中力が簡単に切れてしまうような状況だったようです。しかし、それを世界の舞台でやれてしまうのが、本当に素晴らしいアスリートだと思います。 体操は3時間ほどで、6種目をこなすわけですが、その間のメンタル的な持っていき方なども、難しい競技だと思います。内村選手はそういったメンタルの強さ、さらには、体操への情熱や追及心、探究心など、あくなき向上心があるからこその結果なのだと思います。本当に素晴らしい勝利でした。 また、決勝では19歳で、練習の虫という萱和麿選手も、良い演技を披露していたと思います。団体戦では決勝で、あん馬に出場して、日本に勢いをもたらしました。総合の試合後には、くやしさをあらわにしていましたが、これから楽しみな選手だと思います。 リオ五輪の金メダル争いということを考えると、キューバの19歳の新鋭ラルデュエトは、怖い存在です。まだ、若いので恐れを知らないと言うか、能力が高いオールラウンダーで、強い種目もいくつも持っていて、ライバルとなってくると思います。また、アメリカの新鋭であるウィッテンバークも、魅力的に映った選手です。パワフルな中にも、美しさもある選手で、運動神経も高いです。ただ、あん馬など苦手種目があるのと、力を持て余してしまう荒削りさがあります。しかし、これからさらに成長して、よりバランスが取れるようになってくると、大きなライバルとなりそうです。
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